天然の酵母菌と柿だけで、自家製のお酢 「柿酢」をつくる

天然の酵母菌と柿だけで、自家製のお酢 「柿酢」をつくる

シンプルなギモン。「酢は自分で作れるのだろうか」

食材にこだわり、料理をしていくと、気になってくるのが「調味料」だったりする。
シンプルなギモン。
「酢は自分で作れるのだろうか」

そういえば、自然栽培の野菜・果物が変化していく過程には腐敗がない。
収穫後に放置された野菜は、少しずつ水分を失い、干乾びるように枯れていく。
果物などの実は、ビンに入れておくと、まず果物の糖分と酵母菌によって発酵して「アルコール」になり。
そこから、さらに発酵して「酢」となり、最終的には「水」に戻るのだ。
つまり、変化の過程で「酢」が出来上がる。

大自然からの美味しいギフト。天然調味料、柿酢。

柿酢には、カリウム・ビタミン・ミネラル・ポリフェノールも豊富な柿の栄養素が全て含まれる。
柿酢には、体内の余分な塩分を排出するカリウムが、黒酢の3倍、米酢の10倍、含まれている。
血圧を下げる効果や、心臓病予防、疲労回復や、二日酔い予防にも効果的だという。
「柿酢ドリンク」や「柿酢の酢の物」など、日々の食卓に天然の柿酢を取り入れることで、効率的な疲労回復も見られるだろう。

切って入れるだけ。簡単!「柿酢」をつくってみよう

柿酢の材料

・渋柿 適量(ここでは、小サイズのものを8個使用)
・保存容器 1L (柿酢になるまで発酵させる容器)
・保存瓶 550~750ml 程度  1本
・清潔な綿布、または木綿などのふきん 1枚

(仕込み:所要時間10分)
(発酵後の絞りビン詰:所要時間10分)

柿酢の作り方

柿の表面に汚れがあれば、布で軽く汚れをふき取る。
柿の皮の表面が白くなっているが、この白いものが天然酵母の元となる。
汚れのない部分は、白い部分も拭き落とさずに、そのまま使う。

包丁で、柿のヘタを取る。
ヘタのまわりも、うっすらと白いものがついている。

皮はむかずに、1/4などにカットした柿を、熱湯殺菌した保存容器に入れていく。

柿と柿の間にスペースがたっぷりあくので、カットした柿は、ビンにいっぱい入れていい。

↓ 1週間後、柿から液体が出て、ビンの底にたまっている。
ビンの中から、ほのかに、アルコールの香りが漂う。

固かった柿の実も、熟してやわらかくなっているようだ。

↓ 20日後。表面が白くなってきている。柿の実は形が崩れ、全ての柿が液体の中に沈んでいる。
カットしてビンにいっぱい入れた柿だが、内容量はビンの1/2ほどになった。
布フタを開けてみると、「お酢」の香りがする。
この白いものは、カビではなく「産膜酵母」。

↓ 1ヶ月後。

 白いゼリー状の「産膜酵母」が、厚みを増している。
上から見ると、ボコボコと大きな丸いカタマリに?!
グロイ……。何というか、見方によっては、とても……。

↓ 2ヵ月後。そろそろ絞ってみようと、フタを開けてみると。お酢の香りでいっぱい。
ボコボコとした。なかなかエグイ、ビジュアル に ビックリ。

ボコボコとした白い膜、これも「産膜酵母」なので。
勇気を出して、中身を取り出していく。
ボールの上にザルを置き。ザルの上に、清潔な綿布をひく。
柿酢のビンを逆さまにして、綿布の上に、中身を入れる。

白い「産膜酵母」の下にある、液体と、ほぼとろけた柿の果実とタネも出てきた。

↓ 液体、白い柿酢は綿布を通り、自然と、下のボウルへ溜まっていく。

次に、綿布ごと中身を持ち上げ。

ギュッと、少しずつ中身を絞っていく。
綿布を通して、柿酢が出てくる。

↓ 少しずつ絞っていき、柿酢を絞りきった状態。

↓ 綿布を開いてみると、こんな状態に。

カスカス。水分はもう出ない。

↓ 絞り終わった柿酢がコチラ。

白っぽくて、なかなかいい感じ。

水を1滴も加えていないので、絞った水分は、もちろん柿100%。

今回は、550ml ほどの柿酢ができた。

絞った柿酢は、煮沸消毒した保存用のビンに入れて、寝かせる。

 

柿酢を絞った手は、石鹸で洗っても、1日中 酢の香りが漂った。

出来た柿酢は、すぐに調味料として使うこともできるが。

2年以上寝かせると、上質な柿酢になる。

絞りたての柿酢と、寝かせた柿酢、その違いを楽しんでみるのもいいだろう。

発酵の過程で、注意すること

・柿酢に、赤・青・黒などのカラフルなカビが生えてしまったら。
→カラフルなカビは、腐敗菌です。繁殖力が強いので、安全を考え、柿酢は捨ててしまうほうが良い。

・柿酢に、ウジ虫が発生してしまったら。
→これは、ビンの中にショウジョウバエが入って産卵されてしまったことが原因。安全を考え、柿酢は捨てましょう。(※柿酢の仕込み中、仕込み後にフタを開ける際は要注意!発酵中の臭いにもショウジョウバエが寄ってくる)
※まれに、熟した柿の実のキズや穴が開いた部分に、すでに産卵されている場合があります。キズや穴がある部分は、大きく取り除いて使うか、キズのない柿を使う。

・柿酢の液体が少なくなってしまったら。
→発酵中のビンに、直射日光が当たっているのでは? または、温度の高すぎる場所だと、水分が蒸発してしまうので注意。

柿酢を使った美味しい料理

数あるお酢の中でも、まろやかな風味を持つ、柿酢。

・柿酢のなます:大根 千切り、にんじん 千切り、柿酢、さとうきび糖
・柿酢の酢の物:きゅうり、わかめ、しょうがの千切り、柿酢、さとうきび糖
・柿酢ドレッシング:柿酢100ml、オリーブオイル200ml、玉ねぎ1/2 すりおろし、塩(適量)、コショウ(適量)

いつものお酢を柿酢にして、料理すれば、バリエーションは無限大。
まろやかな酸っぱさに、栄養価もアップ。

「柿酢」は、日本の伝統調味料。

「柿酢をまず、味わってみたい」
「調味料として使ってみたい」
「実際に目にして、香りとまろやかな風味を感じてみたい」

手軽に作れる柿酢ですが、まず味わってみたい方は、
市販の無農薬の柿酢がオススメ。
絞り布は、清潔な綿布を使おう。