無施肥・無農薬。自然栽培でライ麦を育ててみた。vol.1

無施肥・無農薬。自然栽培でライ麦を育ててみた。vol.1

ライ麦の種まきから収穫までを解説。
実際に栽培してみないとわからない成長過程、収穫方法、脱穀の仕方などを解説します。

種まきの際に、してはいけないこと。


緑肥として育てられることが多いライ麦。
今回は、食用にライ麦を育て、収穫していきます。
まず、ライ麦を栽培する場所と、ライ麦の種を用意します。
せっかくなので、タネは、野口種苗さんなどで、安全なものを用意しましょう。
(詳しくは、”自然栽培・自然農法。固定種・在来種の種を入手できるサイト4選” へ)

自然栽培で栽培しますので、その場所の土を耕し、簡単に畝を作ります。
畝にライ麦の粒の2・3cmほどの溝を作り、ライ麦を1・2cm間隔で播いていきます。
播いたタネの上に、タネの3倍ほどの土をかぶせます。

ライ麦は基本的に生命力が強いので、ただタネをばらまいてもいいのですが、自然に任せようと、播いた種をそのままにすることはやめましょう。
土の上にタネが丸見えの状態ですと、当然、鳥がやってきてライ麦のタネを食べてしまう確立が高くなります。
まずは、タネを播いたら、必ずタネの上に土をかけることを心がけてください。

 

麦踏みは、背丈が5cmになってから。


ライ麦の種をまいて1か月ほど経つと、葉が3~4枚になります。
関東では、10月下旬にタネ播きをしたら、11月下旬頃に、最初の麦踏みをします。
(※上の写真は1月の状態)

麦踏みとは、麦を踏んで、麦に傷をつけ、成長を抑えること。
「え?せっかく成長しているライ麦を、上から踏んで大丈夫なの?!」

麦は傷をつけられると、麦が傷ついた部分を治そうと「エチレン」というホルモンを出します。
麦が治癒能力を発揮させて、茎が太くなり、強い麦になるのです。
さらには、霜で根や株が盛り上がり、麦が凍霜の被害に合うのを避けるためでもあります。

麦踏みのやり方は、ライ麦を足でフミフミ。
ライ麦の上からライ麦全体をしっかり踏んでいきます。

一度踏んでから、ライ麦をまた何度か繰り返して踏んでも大丈夫です。
踏んでつぶれてしまったように見えても、4~5日経つとまた起き上がってきます。
これは、麦が力強く治癒能力を発揮させた証拠です。

また1ヶ月後、12月下旬に、再度同じように麦踏みをします。
その後は、1月に2回、2月に2回、ほど踏んで、麦踏は終了です。
3月に入ると背丈が伸びてくるので、麦踏みは行いません。

「自然を尊重して育てる」というアプローチ方法。


温かくなると、ライ麦は背丈を伸ばし、大きく成長していきます。
ライ麦にも、アレロパシーの作用があり、草や他の植物の成長を寄せ付けない作用があります。
(『アレロパシー』とは、その植物が育つと、他の植物の生長を抑える物質を放出したり、作用させる効果のこと。)
ライ麦を栽培している間は、目立つ雑草はわずかで、ほとんど生えてきません。

しかも、ライ麦は、他の穀物よりも寒さに強く、痩せた土壌でも成長しやすいため、
2月まで麦踏みをしたあとは、自然に任せておくことが可能です。
自然に任せておくと、ライ麦は180cmくらいまで成長し、4月頃には青い麦穂をつけます。

↑ これは、無施肥・無農薬、自然栽培、自家採種7年目のライ麦。
麦穂の中で揺れている、ライ麦の花です。
タイミングよく、この時に出会えたなら、それは貴重な瞬間です。
ライ麦も、花を咲かせます。
風に揺られて自然と受粉され、ライ麦の粒が出来ていきます。

その後、5月後半くらいから黄金色に変化していき、
6月中旬くらいの刈り取り時期には、黄金色に輝く麦穂となります。

なぜライ麦を収穫するタイミングには注意が必要なのか


ライ麦は、畑で十分に成熟し、水分量が少なくなるタイミングまで待ちましょう。
関東で、10月末に播いたライ麦を収穫する時期は、6月中旬~3週目くらいです。
この時期は、ちょうど梅雨の時期と重なり、雨の多い天候が続くことも。
晴れ間が続き、ライ麦が乾燥した状態で収穫したいものです。
特に、コンバインなどの大型機械を使わず、手刈りでの作業を予定している場合は、
栽培面積により、手刈り作業が数日に渡ることもあります。

十分に畑で熟し、天日乾燥させたライ麦の美味しさは格別です。
梅雨の時期だからといって、雨を避けての早刈りは避けたいものです。
天気をこまめにチェックし、無理のない収穫スケジュールを立てましょう。

 

カマでの手刈りは、根元から刈り取るのが基本

さて、いよいよ収穫です。

まずは、太めの竹などを用意して3本で組み、はざ掛けするための場所を作ります。

手作業でのライ麦の刈り取りには、鎌を用意します。
ライ麦を手でつかみ、鎌を使って、地面スレスレのライ麦の根元から、刈り取っていきます。

刈り取ったライ麦は次々横に倒し、麦ワラか麻ヒモで束ねていきましょう。

全て刈り取ったら、束ねたライ麦を竹で組んだ干し竿にかけていく。
ライ麦の束が倒れないよう、しっかりと竹にかけていきます。
最後に、根元の切り口が雨などで濡れてしまわないよう、上からビニールをかけておきましょう。
(参考:30坪程度のライ麦畑、手刈り・ほぞがけ作業に、素人3人で実労10h。)

脱穀作業は、はざ掛けしてから約1週間後

はざ掛けして、約1週間ほど経った頃。
ライ麦が乾燥したら、梅雨の晴れ間を狙って、脱穀作業です。
前日も晴れて、ライ麦がよく乾燥した状態で脱穀の準備をしましょう。

『ライ麦の脱穀・分別、食べ方など』詳しくは、
続編、”自然栽培で育てたライ麦を収穫。脱穀して食べる。vol.2” へ続く。

自然栽培で育てたライ麦を収穫。脱穀して食べる。vol.2